2020年05月12日 (火)
業績が悪化した法人の社長借入金/貸付金処理
事例概要
ご高齢の社長が、法人に対して1千万円以上の貸付をしていました。業績が不調であり、返済することがかなり困難であることが想定されていました。
ポイント
社長が資金繰りが厳しい時期に法人に対して貸付を行うことはよくありますが、法人に対する貸付金は原則として相続財産に含まれてしまいます。
対応策
方法としては、相続が行う前に①資本金への振替、②債権放棄(法人にとっては債務免除)などが考えられますが、状況を考えると②債権放棄が望ましいと判断したため、債務免除を行いました。
プロジェクトを振り返って
社長は、株価評価は気にかけていましたが、「特に業績が悪い会社の貸付金が、まさか相続財産になるなんて・・・」と仰られていました。こちら側が先回りして話をしていく必要があると感じました。
2020年05月01日 (金)
事業承継後の会社業務の把握支援
事例概要
初代であった父親が急死し、急遽父親の事業を承継することとなった30代半ばの2代目後継者。
先代の代からの経理担当の古株番頭さんが情報を出してくれず、顧問税理士さんもいるにはいるが年齢が離れておりスピード感が付いてこない。自身も前職では営業出身であり、経理内容のみならず、会社の全体像を理解することができない。古株番頭さんの下に新任経理担当を入れるも定着せず、すぐに辞めてしまう。
ポイント
会社の実態としては、多額の銀行借入があり各行からの支援の中でのスタートでした。自らがリーダーシップを取って、事業を再構築するためには財務状況を把握し、その上で新しい会社の形を作る必要がありました。
対応策
まず、新社長が会社の実態を把握するために、過去10年分の決算資料を比較した分析資料を作成し、また営業/総務/経理等の各部門へゼロベースでのヒアリングを行いました(商品名「法人ドック」)。過去からの決算数値を比較、理解していただくことで、「現状認識」をして頂きました。
その後、営業部門と経理部門との情報を円滑にする仕組み作りや、経理担当者が社内で育成されるまで、銀行交渉の間に入る支援を月次で継続することとなりました(商品名「CFOプログラム」)。
プロジェクトを振り返って
先代の代からの顧問税理士や、番頭さんの顔を立てることに配慮しました。
報酬額 |
第1フェーズ(法人ドック):120万円
第2フェーズ(CFO):月額30万円 |
要した期間/頻度 |
第1フェーズ:3ヶ月
第2フェーズ:月4日程度の訪問
(銀行との交渉/営業部門と経理部門との情報連絡等の実施) |
2020年03月01日 (日)
病院の建替えにあたっての借入金返済計画シュミレーション
事例概要
事業承継された御依頼者様は、老朽化した病棟の建直しを検討されていらっしゃいましたが、建直し後の借入金の返済が可能であるか否か不安な状況にあり、いくらまでの投資額であれば返済できるかとの不安がありました。
ポイント
医療法人の医療保険収入は、看護体系(看護職員1人が受け持つ入院患者数)により保険収入単価が異なるため、収支シュミレーションは通常法人よりも複雑性を増していました。
対応策
検討の結果、現状の損益構造及び財政状況(資金積立残高/外部借入残高)からは、現在検討している投資計画から資金繰りに行詰る可能性は低いことが明らかになりました。
プロジェクトを振り返って
医療法人は、原価のうち人件費と設備償却(又は賃借料)が占める割合が大きいため、過大な設備投資をしてしまうと身動きが取れなくなってしまいます。
2020年03月01日 (日)
スムーズな事業承継のための事業承継プラン
事例概要
事業承継のため息子さんが入社しました。
しかし、現状では赤字体質の会社であるため、事業を継続する前提として、利益が出る構造の会社に体質改善をする必要がありました。また、財務上の問題として、社長からの個人借入と繰越欠損金の2つがあるという問題がありました。
ポイント
社長からの個人借入は、相続税評価上 赤字法人であっても金銭債権として評価されてしまいます。
このため、赤字法人への貸付金は、生前に「債権放棄」しなければ税務上不利な扱いを受けてしまいます。
しかしながら、債権放棄をするにしても、社長以外の株主がいる場合には、一度株式を社長に寄せなければ、「みなし贈与」課税を受けるリスクがあります。
対応策
税務上の問題を解決するため、一度株式を現社長に寄せ、時期を見ながら債務免除と欠損金を相殺、株式価値を毎年モニタリングしつつ、時期を見て株式承継するようにプランニングしました。
同時に、収益性を高めるよう、数値の可視化を強化しました。
プロジェクトを振り返って
ゼロから始めるよりも大変な事業承継のケースもあり、継ぐ側の意思こそ大事だと感じました。
2016年05月20日 (金)
不動産管理会社の事業承継
事例概要
依頼者様の資産家の父親が かつて相続税の節税目的で設立した不動産管理会社を現在の税制度に合わせて仕組みを再設定し、節税につながった事例
ポイント
決算書及び概況ヒアリングから現状を分析すると、負債は主に関連会社と父親個人借入の2つであり、外部借入はありませんでした。
しかし、借入金の返済原資を確保するため、役員報酬を低く抑え、利益を確保すると同時に法人税を支払、内部留保が増加している構造が継続していました。
この現状が継続すると、①内部留保が高まり 相続税の株式評価額が増加する ②相続税評価上、不動産管理会社に対する個人貸付が金銭債権評価されてしまう という問題がありました。
対応策
所得税と相続税、法人税の各種税制度の中から、どの「課税ゲート」を通すことが有利になるのか、試算する必要がありました。
①役員報酬を増額させることで内部留保の増加を減少、相続税評価額を減少させる
②金銭債権と所有不動産を一部交換することで、相続税評価額を減少させました。
プロジェクトを振り返って
税制度は変更されるため、かつて有効だった節税策が現在では賞味期限切れになっている可能性があります。特に一度決めるとその後は設計どおりに動くため、数年に一度は見直しが必要になります。