2017年03月18日 (土)

DES(デット・エクイティー・スワップ)とは -財務体質の改善-

社長と法人との貸付/借入関係を利用して、財務体質が改善できないか?というご相談がありました。債務免除の他、DESという方法もあります。

1.DES(デット・エクイティー・スワップ)とは

DESとは、「負債」を「資本」に振り替えることを言います。

2.DESが有効な場面

DESは、例えば、こんな場合に有効です。

(1)社長借入を資本金に振り替える

銀行は、貸付にあたって、会社を財務諸表の数値から格付けしています。
過去2~3期分の決算書や税務申告書を入手して、銀行独自の評価システムに入力、点数化しているのです。
基本的には、貸出できるか否か、金利や条件も「格付け」で決めています。つまり、銀行からの格付けを上げるためには、戦略的に財務体質を改善する必要があるのです。

ここで、株主が社長1人だけの100%出資法人を考えみます。
社長としては、法人に対して貸付も株式による出資も、本質的に差はありません。
しかしながら、「銀行の格付け評価」の上では、原則として、社長からの借入(社長からすると貸付)は「負債」としてカウントされ、「財務体質が悪い」と判断されてしまいます。
ここで、社長からの借入を資本に振り替えることで、過小資本のために「財務体質が悪い」と評価されていた場合でも、評価アップが可能になります。

(2)相続税対策や事業承継対策

ご高齢の社長が、法人に対して貸付をしていた場合、この法人に対する貸付は「相続財産」に組み込まれることになります。
「貸付金」の相続税評価は、額面で評価されてしまう一方、「株式」の相続税評価は、必ずしも額面評価されないため、相続税を減額する効果があります。
ただし、こちらはケースによっては、DESを適用すると税務リスクにつながる場合があります。このため、債務免除(後述します)の方が安心な場合が多いです。

3.税務リスクなどについて

(1)DESと債務免除の違い

債務免除とDESは違います。
①債務免除=利益剰余金のマイナスを解消する効果
②DES=資本金そのものを増やす効果があります。
(難しいので、これ以上、ここでは解説を省略します。)

(2)DES=貸付金を現物出資して、株券を貰う

DESは、法律的には、「貸付金を現物出資して、この評価分の株券を貰う」という行為になります。
混乱するところなので、分解して考えます。
ステップ1:現物出資(金銭以外で出資すること)
現物出資というのは、法人に対して「お金」で出資するところ、別の「もの」で出資をすることを言います。これは、例えば「車」や「何かの権利」などで行うことも可能です。
法人に対して「お金を請求できる権利」も出資対象とできます。
ステップ2:「貸付金」と「株券」と交換する
現物出資は、「価値がある財産」であれば出資することができますが、今回はたまたま、会社に対して「お金を請求できる権利」を出してもらい、代わりに「株券」を提供するということになります。
「お金を請求できる権利」が全く問題なく回収できれば何ら問題なく、立派な出資財産になるのです。
回収可能性に問題がなければ、税務リスクは発生しません。

(3)税務リスク

ここで、「出資する財産」を「財産価値」の視点で考えてみます。
出資する財産が「現金(日本円)」であれば、額面通りに評価できます。例えば、1億円の「現金」で、1億円分の株券を貰うという行為は、通常の交換取引になります。しかしながら、1億円分の「貸付金」はどうでしょうか?どんな会社も1億円分の評価があると言えるでしょうか?トヨタに対する貸付金と、ボロボロのつぶれそうな会社の貸付金は、評価が違いますよね。

①法人に「貸し付けた当時」は1億円だった。
②「現時点で、どれぐらい回収が見込めるか?」という視点でみると、3000万円ぐらいしか回収ができなそうだ。
③貰える株券も「3000万円」分ということになります。
④法人側としては、1億円分の借入金が、なくなって3000万円分の対価でOKになった。差額の7000万円は「利益」になる。
⑤利益=課税対象=税務リスク
というステップを踏みます。
つまり、「貸付金の評価」が全ての出発点になっているのです。

(4)貸付金の評価

パターン1:DES前、資産超過である会社
DESに関してまず税務リスクはありません。資産超過であれば、貸付金の回収可能性に問題はないと言えるからです。
パターン2:DES前、債務超過であるが、資産を評価すると回収可能性が高い会社
債務超過とは、「資産< 負債」という関係になっている会社です。ただし、この場合でも、帳簿上の資産を時価評価すると、回収可能性が十分見込める状況である場合、貸付金の回収可能性はあると言えます。この場合であれば、税務署からの指摘に対しても対抗することができます。
パターン3:DES前、債務超過であり、実態資産を考慮しても、回収可能性がない会社
債務超過とは、「資産< 負債」という関係になっている会社です。この場合、全ての資産を売っても「負債」が回収できないことが予測され、この場合には、貸付金の回収可能性に問題があると言えます。

実際には、パターン3であっても、繰越欠損金など過去の赤字があるなど、様々な税務上の対応で、税務署から指摘を受けるケースは少ないと思われます。第三者が客観的に見て「明らかな租税回避行為」だね!と認定される場合にのみ、税務リスクが「実現する」のだと思います。

4.まとめ

□ 債務超過の会社は注意(リトマス試験紙)
□ 実態BSを考えて、それでも債務超過か?確認する
□ 債務超過の会社の場合、債権放棄を検討する。

ご参考になれれば幸いです。
(資本等取引をめぐる法人税実務 381)

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