法人登記までの流れの留意点をまとめました。
0.決めること
下記事項を決めることがゴールになります。


1.手続の概要
全ての期間完了までに1~2週間程度を要します。
登記及び事業開始までの流れ

2.法人の名称
基本的に「商号」は発起人らで自由に決めることができますが、いくつかの制約があります。類似商号も含め、使用できるか否かは、司法書士の確認が必要です。
1.商号のルール

2.SEOの視点から考える
1.地名を入れる
2.業種や事業内容を入れる
3.検索キーワードから考える
3-1.事業目的
事業目的は、将来行う予定があるものは広く入れておいた方が良いです。
ただし、やらないなら、銀行融資の側面から「金融業」,「投機的事業」(VC事業)は入れない方が無難です。
1.事業目的を決める時の注意事項
設立目的とは、「その会社がどのような業務をするのか?」というものです。
設立する会社、定款に定めた目的以外の業務を営むことはできません。

2.事業目的の作成例

3-2.許認可
法律により業種によっては営業の許認可が必要な場合があります。
詳細については照会ください。
許認可が必要となる業種の一例

■許可:一般的に禁止の網をかけておいて行政庁が認める場合に許すものをいいます(運転免許書と同じ)。
■登録:行政庁が備えている帳簿に一定事項が書き込まれることで、営業が認められるものです(許可と似ています)。
■届出:法律等が定める一定要件を充たした届出をすれば行政庁は裁量の余地なく受理しなければなりません。
※許認可などを取得するのに数ヶ月の期間を要する場合があります。計画に織り込む必要があります。
※許認可は、「法人として」の申請が必要であるため、設立前には申請することはできません。
4.本店所在地
定款=市区町村まで、登記簿=住所地まで が推奨されます。
1.本店所在地とは
本店とは、会社の事務所の本拠地のことで、営業活動の拠点となる場所を意味します。
本店所在地は、定款と登記簿と役所関係の3つに記載されます。
どこまで詳細に記載するかを選択できますが、異動を考慮すると実質的に下記の組み合わせが推奨されます。

2.実務上の留意事項
【レンタルオフィスとの契約】
原則問題ありませんが、場合によっては銀行口座の開設ができない場合があります。
【自社住宅を本店所在地とする場合】
マンションによっては、法人登記を制限している場合があります。規約をご確認ください。
5.機関設計と取締役の任期
株式譲渡制限有り かつ 会社法上の中小会社の場合、取締役は1名でOKです。
この場合、任期は10年にすることが望まれます。
1.機関設計(最低限必要なもの)

※1:公開会社=証券取引所の上場会社とは異なり、株式譲渡制限のことを意味します。
【取締役の任期】
(原則)取締役2年、監査役4年
(例外)定款に「株式を譲渡するには会社等の承認が必要である」旨の規定を設けた場合、10年まで延長可能
【延長するメリット】
・取締役は任期到来の都度、再任し、期間の延長の登記が必要となります。
・役員重任の登記の都度、3万円の登記費用が発生します。
【結論(推奨)】
①定款に「株式譲渡制限あり」とする
②取締役1名以上とする
③役員の任期を10年とする
2.役員になれない人(欠格事由)

6.決算期と事業年度
決まりはありませんが、一般業種としては3月末と12月末が多い状況です。
なお、決算日は月末以外を選択することもできます(Ex.5月20日決算)。
いつにするか

7.会社設立日
会社設立日は、土日、祝祭日以外の日付である必要があります。
平日であればいつでもいいのですが、占いを大事にする経営者は多いのです。
1.六曜

2.歴注と天赦日
暦注(れきちゅう)とは、注歴(暦に記載される日時・方位などの吉凶、その日の運勢などの事項のこと)に記載される日時・方位などの吉凶、その日の運勢などの事項のことである。
この日は、百神が天に昇り、天が万物の罪を赦(ゆる)す日とされ、最上の大吉日である。そのため、天赦日にのみ「万(よろづ)よし」とも注記される。
天赦日は季節と日の干支で決まり、年に5回または6回ある。
「一粒万倍」とは、一粒の籾(もみ)が万倍にも実る稲穂になるという意味である。一粒万倍日は何事を始めるにも良い日とされ、特に仕事始め、開店、種まき、お金を出すことに吉であるとされる。但し、借金をしたり人から物を借りたりすることは苦労の種が万倍になるので凶とされる。
一粒万倍日は数が多いことから、他の暦注と重なる場合がある。その場合、吉日と重なったら一粒万倍日の効果が倍増し、凶日と重なったら半減するという。
【2016年/2017年の天赦日】

8.資本金 と 1株当たりの金額
会社設立費用を捻出するだけの極端な「過少資本」(30万円)は問題あります。
業種によりますが、総合的に考えると100万円~300万円程度が1つの目安となります。
1.資本金をいくらに設定するべきか?

(過小資本の問題点)
・一般的に創業3年間は厳しい状況
→ 2期連続赤字でも債務超過に陥らない金額の設定が必要
・設立費用20万円を捻出するだけの資本金
→ 直ちに債務超過
→ 新創業融資も困難 & 一般融資もできない
・銀行口座開設が難しい
2.株式1株の金額をいくらにするべきか?
幾らでも構いませんが、1万円もしくは5万円としている会社が多いです。
A.印鑑の種類
法人の設立に必要な印鑑
角印/法人代表印/銀行印を3点セット、ゴム印を含めたものを4点セットなどと販売されています。

B.銀行融資(創業融資)
創業融資は、3期目に入る前まで
創業融資=無担保・無保証融資を受けられるチャンス
1.「新創業融資」制度の概要
創業前及び創業後間もない方は、営業実績が乏しいなどの理由により資金調達が困難な方へ雇用創出を目的として「政策的」に無担保・無保証で融資

■要件
①事業開始前又は、事業開始後税務申告を2期終えていない
②雇用の創出 / 同業種での経験がある など
■特徴
無担保・無保証融資 (H28年3月期実績では約65%が無担保・無保証)
■期間
1か月程度
■必要な手続
・書類作成
・面談
■融資限度額
①3,000万円(うち運転資金1,500万円)
②資本金金額の2倍まで
2.創業融資はチャンス

(Aさんの事例)
・「借入を絶対にしない」というポリシーの下、創業融資を行わず、手持ちの資金は500万円だけを考えていた。
・その後業績が悪化したものの、既に創業から2年半が経過してしまっていた。
・創業融資は、「将来への期待値」(&国の政策)で評価を受けられる2期目までです。
・3期目以降になると、実際の決算書を見られてしまう(「実力での評価」)。
(融資の鉄則)
・晴れているタイミングで借りる。困ってからでは借入が出来ません。
(留意事項)
・1期目は設立日と決算期の設定によって、事業年度が短縮される可能性もあるので注意が必要となります。
・ビジネスモデルが「資金が不要か?」を検討する
C.会社設立後の届出
【提出期限】

*1:提出期限は、1~3ヶ月と様々ありますが、設立後、直ちに提出すれば問題にはならないためここでは詳細に記載しておりません。
*2:年金事務所は、5日以内と時間的な制約が厳しいので留意ください。
D.税務申告・納税などのスケジュール

【ダウンロード】
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