
1.給与計算・人事労務系ソフトの生態系
まず、全体像として、図の左側にあるソフトウェア群で収集したデータを、中央の「給与計算ソフト」で処理をして、左側の各種アウトプットを生み出す流れをイメージしてください。
給与計算がクラウド化する以前から情報の流れ自体は変わっていませんが、従業員がダイレクトにクラウドシステムに情報をインプットして、その情報がシームレスにそれぞれの業務ソフトで共有されるようになってきました。これまでは、それぞれの業務が縦割りで分割されており、人事業務の生産性を悪くしていましたが、その壁が取り壊されてきており、給与計算・人事労務業務に要する時間が大幅に短縮されています。
■給与計算・人事労務系ソフトのベストチョイスは?
給与計算、人事労務系のソフトは分野ごとにかなりの数がリリースされており、「選ぶのが大変」という声をよく聞きます。ソフト間の相性の良し悪しもあります。そこで、お薦めのソフトの組み合わせをご紹介します。
2.MFクラウドバリューパック+SmartHR “横綱”
MFクラウド給与を中心にして、足りないソフトを他社のソフトで補う組み合わせです。お薦めのポイントは3点あります。
①MFシリーズの統一感
言わずもがなですが、MFクラウドシリーズで統一するので連携がスムーズです。ただし、SmartHRで取得した情報はMFクラウド給与に手動で同期する必要があります。
②煩雑な入退社手続きがカンタンに
SmartHRでは、従業員が直接クラウドアプリに個人情報を入力するのが特徴です。入力画面はかなり工夫されており、慣れてない人でも簡単に入力できます。
資格取得届などの入退社関係書類も、入力してもらったデータをもとにそのままプリントできるので驚くほど速く仕上がります。
③コストパフォーマンス
スタッフ5名までならば、MFクラウド会計の料金プラス1,000円で請求書や給与計算ソフトなどが使い放題になる”バリューパック”があるのでリーズナブルな価格で使えます。
また、SmartHRはスタッフ5名まで無料で使えます。
▼MFクラウドバリューパック
▼SmartHR
<弱点>
①ソフト間のデータ同期問題
MFクラウド給与計算には社員の入退社書類の作成は実装されていなく(2016年11月現在)、そこはSmartHRで対応しますが、SmartHRとMFクラウドが連携していないのが弱点です。SmartHRで入手した個人情報を手動でMFクラウド給与計算に転記する必要があり、すこし面倒です。(紙面で回収していた時代に比べればかなり改善されています。)
②電子申告未対応
法定調書を電子申告で送信したい場合には、MFクラウド給与計算からダイレクトに送信することはできません(2016年11月現在)。TKCなどのソフトの形式でデータを出力することはできるので、それで対応することは可能です。
3.workcloudを使い倒す “大関”
workcloudという、とにかく守備範囲が広い人事系ソフトを使い倒す組み合わせです。
①一つのソフトで給与計算・人事労務を丸ごとカバーできる
「MFクラウドバリューパック+SmartHR」パターンと違い、データベースが一つですので、紙面で入手した情報をPCへの登録したり、異なるソフト間でデータの同期をとったりする必要がありません。「人事のことは全部ここ」という楽さがあります。
②コストパフォーマンス
機能が充実しているのに、利用料はリーズナブル。5名までなら無料で使えます。
▼workcloud
<弱点>
①もう少し直感的な操作感が欲しい・・・
workcloudは機能が豊富であるがゆえボタンが多く、慣れないと操作に戸惑うかもしれません。また、SmartHR同様に、個人情報は従業員に直接入力してもらう仕組みでして、案内表示はかなり工夫されているものの、SmartHRの方が分かりやすい工夫があります。(例えば、基礎年金番号の入力フォームの近くに年金手帳の画像が表示され、基礎年金番号が印字されている場所を視覚的に教えてくれるなど)
②電子申告未対応
法定調書を電子申告で送信したい場合には、MFクラウド給与計算からダイレクトに送信することはできません(2016年11月現在)。MFクラウド給与計算と違い、他の税務ソフトとのデータ連携機能も実装されていません(2016年11月現在)。
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【2017.1.14追記】
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