
■税金のかかるタイミング
□仮想通貨取引所で円やドルなどの法的通貨に換金したとき
「仮想通貨取引所に預けている間は税金がかからない」という説を耳にしたことがありますが論拠は不明です。仮想通貨取引所では三井住友銀行などの口座に現金をリザーブしている状態ですので、自分名義の預金口座に出金する前であっても儲けには税金がかかります。
また、円でなくてドルやユーロの外貨への換金でも儲けに対して税金がかかります。
□仮想通貨取引所でアルトコインなどの他の仮想通貨に換金したとき
「まだ円に換金してないから税金はかからない」という説を耳にしたことがありますが、税務業界の常識からはNGです。
土地と土地の物々交換などは大昔から行われており、原則交換した際に税金がかかります。その際には「いったん土地を売却して円に換金して、その円で新しく土地を購入した」というロジックになります。
□商品やサービスの代金決済に利用したとき
他の仮想通貨に換金したときと同じロジックです。
□デビットカードにチャージしたとき
デビットカードの種類によって異なるかもしれませんが、日本で使用できるVANDLE CARD(バンドルカード)の場合は、いったんビットコインを円に換金して、デビットカードにチャージする取引形態になっています。この円に換金したタイミングで課税ですね。
「海外のデビットカードの場合は非課税だ」という説を見たことがありますが、かなり雑なコメントです。海外/国内という区別ではなく、いったん法的通貨に換金してデビットカードにチャージしているのか、それともカードを利用したタイミングで仮想通貨から法的通貨に換金してチャージされるのか、というスキームでの区別になります。
個別の調査はしていませんが、デビットカードの性質上、カード利用前のチャージが前提だと思いますので、結論として海外/国外の区別はないと思います。
※ビットコイン口座から引き落とされるクレカがあるとしたら、引き落としのタイミングが課税ポイントになります。
■税金のかからないタイミング
□含み益のある仮想通貨を保有している状態
株式や投資信託と同じです。
□含み益のある仮想通貨を保有したまま、国外に転出したとき
「国外転出時課税」というのは平成27年度税制改正で誕生したルールで、1億円以上の有価証券等をもっている人が海外に移住した場合には、日本を離れるタイミングで有価証券を時価評価して含み益に税金をかけるヨ。というものです。
対象資産は限定的で、「有価証券(株式、投資信託等)、匿名組合契約の出資の持分、未決済の信用取引・発行日取引・ デリバティブ取引」ですので、単純に仮想通貨を保有しているだけでは対象にはなりません。
「含み益のある仮想通貨を保有したままタックスヘイブンに移住。日本の非居住者になった状態で法的通貨に換金。」という荒業は今のところ日本の税制では課税の対象にできません。租税回避的な行為になりますのでおすすめはできませんが、これを実行した人に「私は日本に税金を払う義務がありますか」と聞かれれば「ありません」と答えます。
数年以内に税務訴訟で国と納税者が争って、納税者が勝利、その後間髪入れずに制度改正という流れが予想されます。
■こうすればバレない。補足されないというテク。
色々ささやかれてますが、当局から補足できない。バレなきゃOK。というのは「この角度だと店員からも見えないし、防犯カメラにも映らないから万引きし放題。」といってるのと同じです。上述の国外転出とは次元が違う明らかな黒。ここの線引きは間違えないようにしましょう。