2015年03月01日 (日)

家族経営 個人事業の社員旅行は経費にできるか?

一般企業では、従業員の半数以上の参加で社員旅行が経費として認められます。
では、そもそも従業員がいない 家族経営個人事業や役員しかいない法人の社員旅行は経費として認められるのでしょうか?
判例を元に検討しました(2015/3/1更新)。

1.家族経営 個人事業の社員旅行は経費にできるのか?

社長は夫、専務は奥さん(青色事業専従者)、子供2人は夏休みにお手伝い、その他にはパート1人という「家族経営個人事業」の社員旅行が、税務調査で問題になった事例があります(H3/11/19、TAINS:J42-2-02)。

1人あたり4万円程度で2泊3日と金額基準や宿泊基準は満たしていましたが、
サラリーマン家庭が行う通常の家族旅行と何ら異なる点は認められないとして不服審判所の結論は否認しました。

【裁決事例】
(必要経費-事業所得) 請求人の従業員は、青色事業専従者である配偶者のみであるところ、従業員等のレクリエーシヨンのため慰安旅行をし、福利厚生費として処理したが、サラリーマン家庭が行う通常の家族旅行と何ら異なる点は認められないとして否認した事例(棄却)
(昭62年分、昭63年分、平成元年分所得税・平03-11-19裁決)
〔裁決の要旨〕
請求人は、本件慰安旅行費用のうち、請求人及び事業専従者である配偶者に要した費用は、従業員等のレクリエーシヨン費用として必要経費の額に算入される旨主張するが、
1)本件旅行は、家族4人のみで毎年8月に、配偶者及び子女の都合・希望を聞いて実施されており、
サラリーマン家庭が行う通常の家族旅行と何ら異なる点は認められないこと及び
2)本件以外にも同様の旅行を実施しているのに、本件旅行費用のみ必要経費になるとした理由も明らかでないことから、
本件旅行は、他の企業が実施している従業員のための慰安旅行と変わらないという請求人の主観的理由のみで事業に関連性を持たせ、必要経費に該当すると判断したにすぎず、客観的にみて事業遂行上必要なものであるかが明らかでなく、通常の家族旅行との相違点も認められないため、家事上の経費と判断するのが相当である。
裁決年月日 H03-11-19
裁決事例集 J42-2-02           【裁決事例集第42集44頁】

つまり、いくら「社員旅行」と主張しても、「実態が家族旅行」のものは経費として認められないということです。

2.家族経営 法人の社員旅行は経費とすることはできるのか?

個人事業が駄目でも、家族経営の「法人」はどうでしょうか?
こちらについては、あてはまる判例は見つかりませんでしたが、サラリーマン家庭が行う通常の家族旅行と何ら異なる点は認められないとして否認した趣旨からは否認されるリスクはあります。
ある役員だけが経営支配をしている同族会社では、同族会社の行為計算の否認規定が設けられています(法人税法132条)。
これをあてはめた場合、同様に経費性を否定される可能性が高いと考えます。

3.役員だけの小規模法人の社員旅行は経費とすることはできるのか?

上記の判例は「家族経営」という点が否定されていましたが、役員だけの小規模法人の社員旅行はどうでしょうか?
こちらも判例はありませんが、税務調査があった場合、「実態判断」が行われるところだと考えます。
本来、社員旅行は慰安により「従業員のモチベーションアップ」ということから「経費性」を認めています。しかし、役員の場合には委任関係にあり、会社を私物化しているような「実態」がある場合には経費性が否定されます。

一方、少人数会社でも、役員が事業計画を立てるためにホテルに篭って・・・と言った場合、慰安旅行というよりも、「会議」という「実態」が強くなるので経費として認められるようになります。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ご参考になれれば幸いです。

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